桜の木下で・・・
「自分らしく生きた先には・・・自分らしい最期の時を迎えたい」
そう願う人たちが増えています。
「最期まで自分らしく」・・・そんな思いを実現させた仲間がいます。
彼女が購入したお墓は「桜葬墓地」。
多摩丘陵の豊かな自然に囲まれた町田市真光寺町。
桜葬墓地は、この町にある総合メモリアル施設「永遠の里・いずみメモリアル」の一角
「町田いずみ浄苑フォレストパーク」内に作られた
エンディングセンター会員用のお墓です。
墓石ではなく桜の木を墓標とし、その下に共に眠る集合墓。
「木立」は、大きく3つのエリアに分かれ、それぞれに桜の木が植えられています。
実はNさんには、「お墓」があります。
亡くなったお連れ合いと、その両親が眠るお墓。
でもNさんは、このお墓には入るつもりがなかったようで・・・自身は「散骨」を考えていたそうです。
そのNさんが、昨年末に最愛のお母様を亡くしました。
お母様にも田舎にお墓があったそうですが、親戚関係もだんだん疎遠になってきていたし
遠い田舎に埋葬するよりはと、Nさんは生前よりお母様にも「散骨」を勧め、お母様もこれを了解していたとか・・・。それでも果たして、本当にお母様が「散骨」で喜ぶのかと悩んでいた正にその時に
「桜葬」のことを知りました。
現地に行ってみて、Nさんの気持ちは直ぐに決まったそうです。
墓地内には山桜、里桜、藤桜の3本の若木の桜があり
きちんと管理が行き届いているため、とってもきれい!
一目見て「母もここなら喜んでくれるはず」と思ったそうです。
費用の面でも、使用料のみで毎年の管理料は不要と、負担が少ない。
(区画が、埋葬人数の異なる3つのエリアに別れ、それぞれに使用料が定められている)
埋葬後、遺骨は永遠に動かされることなく、土に還るしくみだから
継承者がいなくても安心。
桜の花の季節に、会員が集まって合同慰霊祭が営まれるため、個人で法要等の心配する必要が無い。
お連れ合いのお墓の問題で、何かと苦労が多かったNさんにとっては
これ以上の条件はなかったそうで・・・縁組成立となりました。
さて、彼女と「桜葬」の縁を取り持ったのは
昨年12月に、ほっとコミュニティえどがわが開催した講演会でした。
「お墓に入らないですむ方法はないかしら?」
「子どもたちに、お墓の面倒をかけたくないんだけど・・・」
「葬儀にかかる費用のことを考えると、オチオチ死ねない!」
「戒名はどうしてもいるの?」
そんな質問を、大勢の方から受けたことがきっかけでした。
レモニー色が強くなり、費用もかかる葬儀はして欲しくないと望む方
継承者の問題で、お墓のことで悩んでいる人が多いことに気づかされました。
「最期まで、自分らしく生きたい」と願っていても
本人不在の人生最後のその時を
どう「自分らしく」迎えることができるのか?
「最期まで自分らしく 私らしい「エンディングのかたち」を考えるをテーマとした講演会
おいでいただいた講師は井上治代さん
(東洋大学ライフデザイン学部准教授、NPO法人エンディングセンター理事長)
ウイークデイの日中という事で、参加できなかった方のために、簡単ではありますが、当日のお話をご紹介します。
「最期まで自分らしく 私らしい「エンディングのかたち」を考える
◆ 葬 儀・・・「葬儀」は家長交代の儀式だったと、井上さんは言います。
戦前、親家族から長男家族へと、「家」が絶えることはないとされた時代があったと。
地縁と血縁、そして社縁も加わって、高度成長期、葬儀は徐々に肥大化していきました。
しかし、家族のかたちも変化し、人も長生きするようになって、葬儀も様変わりしてきています。
故人を知る人達だけで送る「家族葬」や「直葬(ダイレクトに火葬に)」といったものも増えてきているそうです。
いずれにしても、自分がどのような形を望むか、いろいろ学習し、判断する基準を持ち、
そして「書き残す」ことが大切だとお話されました。
◆ 遺 言・・・井上さんのお父さんが亡くなった時、井上さん宛の袋が出てきたそうです。
表書きには、死後必要な様々な手続き関連を、こと細かく指示した内容が・・・。
井上さんは、これらの袋を「思いやり袋」と呼んでいるそうです。
残された家族が困らぬように・・・お父さんの愛がいっぱい詰まった「思いやり袋」です。
この経験から井上さんが作成したのが「遺言ノート」。
書き残した人の「思い」が残る宝物です。その時のために残しておきたい内容は、2種類。
一つは、病名告知や延命治療に関することなど、何か起こった時に、どうしても書き示しておきたい内容。
もう一つは、愛する人たちへのメッセージ!何度書き足しても、書き直してもOK。
その時、それを書いた自分が残ると言います。そして、それらの言葉は、残された者を勇気づけるものだとも。
井上さんは、お姉さんを癌で亡くされています。
病名の告知はしましたが、死を宣告することはできませんでした。
お姉さんが、死を受け止めることができないと考えたからです。
が、未だにそれで良かったのかと悩むことがあるそうです。
もし、お姉さんのメッセージが残されていたなら・・・と考えると言います。
◆ お 墓・・・お墓も、その形を変えてきているそうです。
自然志向(自然に帰りたいという思い)、個人化、双方化(夫婦両方の親を一緒に埋葬)、脱継承。
特に、継承者がいないことの問題を抱えている人は増えており、
継承者を必要としない墓は、1990年に4ヶ所だったものが、2004年には600ヶ所になっているとのこと。
井上さんが理事長をされている「NPO法人エンディングセンター」は、
尊厳ある死と葬送の実現を目指して活動している団体ですが、
東京・町田に、エンディングセンター桜葬墓地「木立」をつくりました。
桜葬とは、桜を墓標とする樹木葬墓地です。
墓地として都道府県知事の許可を得た区域に、石ではなく樹木を墓標とし、遺骨を土に還す葬法の墓地です。
宗教も自由。檀信徒になる必要も無く、桜の花が咲く時期に、会員が集まって、
合同慰霊祭「桜葬メモリアル」を行っています。
もちろん継承者は必要とせず、遺骨を埋葬したあと、永遠に動かさず、そのまま土に還ります。
従来型の葬送の形にとらわれず、自分の生き方を貫いた「最期」を迎えることができること、
改めて教えていただきました。
そしてそのためには、どうして欲しいかを、きちんと伝えるために、書き残すことが必要!
それは、残った人のためでもあることを学びました。
夫婦世帯も、最期に残されるのは「ひとり」・・・。
ひとりで生き、ひとりで死んでいける社会。
「個」が尊重される社会でなければなりません・・・。という井上さんの言葉が印象的な講演会となりました。
実は講演会の後、桜葬を購入した方がもうお一人いらっしゃいます。
二人並んで「私たち、『墓トモ』なのよ!」と、嬉しそうに笑顔で話されていた姿が印象的でした。
家族との関係性を大事にしつつ、家族だけでは背負いきれないものを他者とどう助け合っていけるか・・・。
エンディングセンターの取り組んでいるテーマは、私たちと共通するものだとNさんたちが教えてくれました。











